2015年現在、ダミアン・ハーストや村上隆なりの売れっ子アーティストが活躍しているのには、それなりの理由があります。

一見いい加減な、面白ければなんでもありの隙間産業的に見られる現代アートの世界ですが、100年さかのぼって(本当はもっと)そこから学ばないと、その背景を理解できません。

アートの歴史は継続しており、それはまさに科学と同じよに先人たちの知恵を、再解釈し積みなおす作業なのです。

少なくとも、絵画においては、なんども「絵画は死んだ」といわれつづけており、そのつど新しい方向性を革新的なアーティストによって見出されてきています。
そこに、新しいテクノロジーの発展も加味され様々な方向に進んでいるのが現代のアートです。

まずは、馴染みやすいところでジャスパー・ジョーンズを、本日はご紹介しましょう。

ラウシェンバーグとともにアメリカにおけるネオダダやポップ・アートの先駆者として重要な役割を果たしたジャスパー・ジョーンズ。

ダーツの標的、アメリカ50州の地図、数字や文字などを「描いた」作品で有名なアーティストです。

美術史において、彼の果たした役割は計り知れません。

皆さんも必ず一度はどこかでお目にかかってると思います。

ジョーンズは標的や地図のような、もともと二次元的な事物を平面に描くことにこだわり、三次元の事物を二次元の平面に再現するイリュージョンとしての絵画を否定しました。また、「私は目に見えるものしか描かない」とも言っていました。

この作品をご覧ください。

これは、絵の具と蜜蝋で描かれた絵画です。

題材はもちろんアメリカ国旗(星条旗)。

タイトルもそのものずばり《旗》

1954~1955年に作られています。
大きさは 107.3×153.8cmということですから絵画としてはそれほど大きな作品ではありませんね。
いや、むしろジョーンズはこの大きさにこだわったと思われます。
アメリカ国民にとって、もちろんわれわれ日本人にとってもでしょうが、一般的に触れる星条旗がこのサイズが多いのでしょう。馴染みのある星条旗を描くことにまず意味があります。

当時、すでにニューヨークでは、ポロックを中心に抽象表現主義と呼ばれる抽象的な絵画が隆盛を極めていました。

また一般のアメリカ人たちはノスタルジックな絵画、つまり花や風景、人物などを題材とした絵画しか理解できない状況です。

そのなかで、星条旗というアメリカのシンボルを描いた訳でその意味は大きいのです。

星条旗という現実を画面に移すことによって、絵画を現実の物にしてしまったのです。

つまり、星条旗という現実と一致する絵画を描いたのです。
絵画も日常の事物と等価であることを表現しています。


いかなる感性や観念の表明でもない物としての絵画なのです。

厚みも奥行きも無い二次元の国旗を二次元の画面に描く(平面に平面を描く)ことは、遠近法などのイリュージョン(それらしく見せること)が排除され、ここにおいて絵画の平面性が徹底されたのです。

いずれにしても、ジョーンズの作品は絵画自体が「物」であることが強調され、その後様々なアーティスに影響を与えました。
・ジョーンズジャスパー